特番ぴりか物語ぴりか物語

2012年 ぴりか物語 7月”ふんわかうす紫色 今金の夏”

2012/07/12

 ジー ジッジィー ジー チュンチュン♪♪   虫の声と鳥のさえずりの演奏会。心地よい音色が響きわたり、太陽の光がきらきらと降り注ぐ夏が今金の里におとずれていました。

 


 一方、種芋を作っている職人はさらに神経をすりへらしていました。「種芋をつくるには、本当に神経をつかうもんだ」。男しゃくの茎、葉などその微妙な変化を見つけ出し、適切に対処して健康な芋を育てていかなくてはいけない。そんな男しゃく職人のするどい目がこれからも“今金男しゃく”を守っていくのです。相変わらずしっかりした太い茎とりっぱな葉っぱを右ひだりにいっぱい広げて、ますますたくましくなっていた今金男しゃく。その畑にうす紫色の華麗な花があちらこちらからぽんぽんと顔をだしていました。「私を見て!」「花の命は短いの。」うす紫色にお化粧した今金男しゃくの花のささやきが、あちこちから聞こえてきています。たくましく、がっしりした男しゃく芋からは想像もできないような愛らしい花をみせていました。1か月前にはまだ、ほんの子供だった今金男しゃくも立派な大人に成長したのです。

 そんな中、「昨年は雨が多くて困り、今年は雨がなく大変だ」と今金男しゃく職人が困り顔です。男しゃく芋は気温と湿度の微妙な違いで病気がでたり成長に影響してくるのです。去年は雨ばかりで、今年は雨がなく、同じ条件で育てられないところに毎年毎年、自然との闘いがまっています。
 
わたしたち人間も、乾燥が続くとお肌がカサカサしてきますが、芋も同じで、芋の肌がわるくなる」と男しゃく職人。今のところ今金男しゃくたちは一生懸命に夜露で耐え忍んでいます。

 お花の一生です。

「特番ぴりか物語」に戻る